当然そのスキルを身につけるにあたっては、それ相応の労力と時間とお金を消費している。しかも本来の職務能力としては必須ではないスキルなため、会社からの恩給なんてのはない。
最初は自分の作業範囲だけで使っていたのだが、変な自信がついた自分は、部署全体が使いまわしている報告書類を自動作成するマクロを公表した。
周りの人は口々に
「すごい!」「仕事が捗る!」といった賛辞を述べてくれた。
でもここから色々と狂って行った。
こういう仕事をすると、上司は妙な依頼を出してくる。
「じゃあこれも自動化してくれる?」
この言い方が文章では表現しづらいのだが、「簡単にできるんでしょ?」というニュアンスが含まれているのだ。
だから気軽に頼んでくる。そんな仕事は業務時間内にさせてくれるわけもなく、他の人が帰るのを尻目に残業するわけだ。
年末年始をExcelとAccessに費やしたこともあった。
最終的には部署の業務をほとんどまかなえるほどのシステムをExcelで構築した。UI設計、プログラム、デバッグ、全て自分だけで。コードは数万行にたっした。
職場はそれを導入し、一定の生産性を得る。このあと待っているのは恒久的なメンテナンスと不具合修復だ。これは誰がやるのか?言うまでもない。私だ。
確かに会社としての生産性は上がっているが、本来の業務とは違う視点での貢献度であるため、私個人の査定としてはほとんど影響はない。昇格要件なども関係なし。
結論としてはやり損。使う人の都合良く動かなければ理不尽な要求が来るし、私以外はメンテナンスができないので、私はその部署から抜けられなくなる。
こういう経験をしたことのある人は思うだろう。「マクロは公表すべきではない」と。
プログラムなんてのは未来恒久的に使えるわけでは無いので、業務の基幹部分に手を出すと痛い目を見ますよ、ということです。
それから日が経って、ようやっと目処がつき、他部署に転勤となった。しかしその部署でもやはりExcelはつきものである。
その部署は報告資料をExcelシートで要求して来る。作業の進捗状況をそのシートに入力し、さらにテキストデータに転記するという謎仕様。そのまま使えば転記する部分も手動入力だ。これでは本来業務も疎かになると思い、関数をつけて、Excelからコピペすれば良い形に変更した。
前職の時の痛い目を見たく無いので、誰にもその仕組みは公表しなかったが、あるとき「なんでいつも報告が早いの?」と同僚に聞かれたときにうっかり漏らしてしまった。
そのときに言われたのが
「なんで自分だけ楽してそんなことするの?ズルい!」
というセリフ。
どう思いますか?一朝一夕で作れるわけでは無い仕組みを作ったことを言わないだけでそんな事言われるなんて。
百歩譲って同僚が「そんなことできるんだ、どうすればできるのか教えてくれないかな?」と言ったのならば、教えなくも無いのだが、そうじゃなくて何故か怒りの反応が先に来て「ズルい」って何だ?
私はマクロを作るのも、関数を埋め込むのも、有用なフリーソフトを見つけるのも、全て有料で請け負うべきだと思っている。
さっきのExcel関数だって
・現状分析
・課題抽出
・解決策策定
・関数調査
・レイアウト変更
・デバッグ
という工程を経て、3時間は費やしている。
どうしても使いたいなら、自分の人件費プラスαの費用を払ってもらいたいぐらいだ。
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